LOG IN

午後3時の風景

by kikoko

午後3時。


お腹が空いてるのか一杯なのか分からなくなってくる時間帯。
まだお昼ごはんは食べていない。

いつも行くうどん屋さんの大将は今頃まかないを食べている頃だろうか。


仕事の手を止める。
もっとも、この時間帯ほど仕事のはかどらない時間帯は無い。


窓に目をやると、目の前の景色よりもラジオの音の大きさに意識を持っていかれる。
改めて目の前の景色に集中すると、さっきまでの騒音は消えている。


「今日、何食べよ...。」

毎日毎日ごはんを食べないと生きられないなんて、なんてめんどくさいんだと最近は思う。
だけどおいしいものが食べたい。ああ、勝手。


『お昼に行ってきます。』

社内チャットにこう打ち込んで画面をロックする。
ここからの一時間は仕事から完全に離れる。

貴重な一時間、トイレも全て済ませてから休憩に入るのがキモだ。
休憩中はチャットは見ない。


明るい陽射しが眩しい。
だけど今日はそれ以上に暖かい。

立ち並ぶビルが反射し合って光をよりケミカルなものに見せる。
それを見てカメラを向けたりなんかするときもある。
本当に映えればなんでもいいんだなって思う。
その通りなんだけどさ。


お腹が空いているときはどんなインスタ映えも心に響かない。
胃袋は外の景色を知らないし、何にも外と繋がっていない。


太陽の光を抱えきれない建物たちの集まりに行くと、やはりまだ肌寒さを感じられる。



「いらっしゃいませ――!!」



大通りを、一つ中に入った場所にあるうどん屋さん。
もうかれこれ半年前から週3のペースで通っている。
メニューは豊富だが、頼むのはいつも牛丼とうどんのセットだから関係がない。


思った通り、大将は客が座るカウンター席に座ってまかないの丼を食べていた。
入り口すぐ横の大テーブルは、大将の奥さんと小学生ぐらいの子どもと、その友だちらが宿題のドリルをやっているみたいだ。
客は自分一人をのぞいて誰も居ない。
まあ、おやつの時間でもあるし。


お待たせしました、と運ばれてきたうどんにまずは口をつける。

暖かくなってきたとはいえ、まだまだ冷える。


ずずずっとうどんをすする音が耳によく響く。
自分の座る席のほんの周囲にしか聞こえていないであろう音だけど、自分には本当によく聴こえる。
(あんまりうどんを上手くすすれないからだ!!)


口がもぐもぐと動いている間は、思考が程よく停止してくれる。
おいしいおいしいとしか考えられなくなる。
毎日食べてるのに。洗脳されつつあるのかもしれない。

いつも、食べ終わると少しさびしさを覚える。
休憩が終わることに対して、完食して空になった容器に対して、そしてこの賑やかな場を離れなければいけないことに対して。


さみしさを紛らわすために、お店を出るときに大きな声でごちそうさまでしたと言うようにした。
また来てくださいと返してくれるたびに、「残りの仕事もがんばろう」と思う。
なんて単純なんだ。

もう常連仲間の一人に入ってると言っても過言ではないほどの頻度で通ううどん屋さんではあるものの、
いわゆる馴染み客のような態度は取れないのが自分の中で悔しさがある。
もっとお話ししてみたいと思う一方、昼休みのたった一時間、貴重なこの時間を無駄にしたくないという気持ちもある。結局いつも「ありがとうございました」などの単語単位の言葉しか交わせない。諸行無常じゃないんかい。


今日も大きな満腹感と、ちょっとのモヤモヤを抱えてコンビニに向かう。
腹いっぱいに食べたあとに食べるビックリマンチョコがおいしいのだ。苦しさを感じながらも食べるビックリマンチョコ。変な背徳感を感じられるし、シールももらえるし、一石何鳥だこれ?あと、ヨーグレットっていうタブレット型のラムネ菓子みたいなのも美味いぞ。



休憩時間を10分ほど残して薄暗いオフィスビルに戻る。光の差し込まない造りになっているエントランスからエレベーターへ向かう。満腹感ですでに眠気が来ている。

大体ここらへんから2時間ぐらいは記憶がないことが多い。まあ、あれだよ、生理現象だよ。


そんなこんなでいつの間にか就業時間が間近に迫って、急いで仕事のクローズ作業に入る。
仕事に一極集中できてる時間って相当短いんじゃないか?と最近よく思う。


毎日がエブリデイだね。
バッカみたい。



明日も仕事がんばろ~~。




kikoko
OTHER SNAPS