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by kikoko

うつらうつらすると、ちょうど頭の後ろから、ドルビーサラウンドよろしく誰か知らない人の声が反響し始める。現実から夢の中に入る合図のように。

夢の中身とも関係ないと思われる声の主は一体誰なんだろう。


あんなに大きな音が反響しているのに眠りを妨げず、現実へ引き戻すにはあまりに大きいと感じる矛盾の音。声なのかノイズなのか、結局いつも分からず仕舞い。タイムラプスで撮られた写真に音声が入るとしたらこんな感じなんだろうなと思う。


遡上する鯉を阻む滝のようにガーガー聴こえる声は、いつも自分が椅子に座って眠りに落ちそうなときに鳴り響く。しっかり身体を休められるときには聞こえないし、いつもその音が聞こえるわけでもない。頭がカクカクなることと何か関係があるのだろうか。

意識を保てずそのまま寝てしまったときには、どうにも夢の内容を覚えていないことが多い。
目覚めた時の身体の痛さだけが残る。


思えば、夢の中に出てくる自分に自分の声が当てられていたためしが無い。
というより、知った顔から発せられる声に馴染みの響きはない。

夢の内容・登場人物を鮮明に覚えていることがあるが、そこには大事な「声」の情報が欠けている。
覚えている顔だからこんな声だろうと勝手に補完されているのか、それとも、実は夢自体が無音であるのに覚醒後に勝手に音が入れられるのか。そうでなければ、知り合いならいざ知らず見たことも無い他人の声が分かるはずがないのである。


ぼくの夢の中の声、もしかしたらあのノイズの中に全部しまわれちゃってるのかな。

ズイッ。


kikoko
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